転校生――転生校

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 醒めないな。  こうやってぼーっとすれば醒めるかと思ったが、そうでも無かった。  きっと、これは死ぬ間際にみる走馬灯って奴か。  走馬灯とか、死後の世界とかそれを悟ることの出来る人間は文字通り、死後の世界に行った人間だけだ。一方通行の現世から黄泉へのルート。それに逆らうことの出来ない貧弱な奴らが徒然なるままに語る死後の世界。それは宗教とかがいい例かもしれない。死ぬことで救われる――なんてのは一部だけだろうが、そんな救いの為に死ぬ人間の気がしれない。  俺が言えた事ではないけど。  だけど奴らと決定的に違うのは、奴らは極楽浄土に行くことで救われたかったのだろうが、俺は生憎この世界から救われたくて心望んで無の世界へ入ろうとしたのだ。  で。  これが死後の世界か。  なるほど。なるほど。  確かにこれは、俺にとっては地獄だ。  あー、そこに掛かってる服。  ハンガーに掛かってる服。  不自然というより時代錯誤。  いや、世代錯誤、というべきか。  制服だ。  学ランだ。  俺今大学生だし、全国どこの学校を探しても制服着るような大学は受験のときにチラリと見た一つの大学しかないし――そもそも、俺は学ランの出身じゃない。  ブレザーだ。  紺色のブレザーで、それ以外着れない、面白きこともなきその学校をつまらなくする学校。  で。  何で学ランなんだ?  あの学ラン、何?  何で未鳥高校のバッジつけた学ランがここにあんの?
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