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「俺は、どうせ努力しても無駄な人間なんだ。ただ、それに気づくのが遅すぎたんだ」
「じゃあお前はどうして産声上げて産まれてきたんだろうな?」
「多分、神様は俺で楽しんでるんだよ。俺の努力を無にして、俺の無残な姿を見て腹抱えて大笑いしてるんだろうな今頃」
「ってことはお前の人生はお先真っ暗って事か。何をするにしても上手くいかない。上手く生かせてくれない。つまらない。面白くない。なんだそりゃ。地獄より地獄じゃねえか」
俺がこの結論に至ったのは中学三年の、中学生が終わる頃。
至るまで俺は最後まで諦めなければ夢というのはよっぽど大層な芸能人だとか総理大臣とか国宝人間とか日本代表ファンタジスタとかそういうのでなければ叶うと思っていた。
かといってそれより下の夢も無かったし、何と言うか、大人になったら普通のサラリーマンじゃなきゃいいや、というくらいにしか考えていないカッコつけ男子だった。
それでも、俺が抱いたたった一つの夢。
その夢を抱いたのは、県立未鳥高校の文化祭に友達4人と行った時だった。
夏。
校舎が綺麗だった訳ではない、寧ろ汚れていた。
校舎が新舎だった訳ではない、寧ろ古びていた。
校舎が冷たかった訳ではない、寧ろ焦がれていた。
そう、焦がれていた。
未鳥高校の志望動機。
アニメの様な文化祭だった。
外には手作りの巨大ステージが、並びに並ぶ屋台が。
内には広告の張り紙が、コスプレが。
生徒の笑顔が。
皆、楽しそうだった。
未鳥高校は偏差値66の高校でいわゆるトップ高って奴だ。
当時俺の偏差値といえば50しかなかったし、内申も並で行けるかそうでないかといえば、まあ行けないと誰からも言われていた。
だけど俺は気がつけばルーズリーフに一日の計画を練っていた。
空いてる所に勉強を入れた気がする。
それで、一日の計画通りに、ルーチン通りに生きてみた。
簡単で息切れを起こすような日々。
惰性で眩暈を起こすような日々。
だけど目標が出来ただけで、一日8時間勉強出来た。
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