転校生――転生校

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 不意に全ての感覚が切断された。  切断されるほど、思考と記憶への集中がブラックホールに吸い込まれる。  俺は再び周りを見回した。  というより、自分の体を見回した。 「どうなってんのこれ……」  そんな独り言を堂々と漏らしてしまう。  だってそうだろう?  俺は確かに、死んだ筈の人間なのだから。  俺は確かに、ビルの10階から飛び降りて、あの高さから、頭から落ちたら、どんな天下無敵スーパーヒーローだろうと、脳が破裂する勢いをつけて、堕ちた。  現実で、死なない人間はいない筈だ。  それがどうだ。一夜経って全身をくまなく捜して掠り傷一個もないはいくらなんでもやりすぎだろ。  死んだ筈。  確かに俺は、死んだ筈だ。  ぐちゃってなった筈だ。  目も当てられない、視界に入れたくもない、脳髄と肉と血を水風船の様にアスファルトにぶちまけている筈だ。  今は朝か――なら今頃俺は警察に運ばれてる筈だ。いや、救急車か? とにかく、死体安置室みたいな場所に置かれる準備をされてる筈だ。  俺は、死んだ筈だ。  俺は、死んだ筈だ。  俺は、死んだ筈だ。  俺は、俺を殺した筈だ。  じゃあこの世界は、まあ夢か? 天国か? 地獄か?  今を俺を包んでる布団も、俺を乗せてるベットも、俺を位置している部屋も、俺を照らしていない朝日も、俺が見えていない雀も、俺を弾いたこの世界も。  全て――幻か。
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