その他

3/3
前へ
/6ページ
次へ
2⃣シーラと湊くん(2) 「湊くんのばかっ!またこんなに寝る薬買い込んで!!」 ばたばたと音を立て、挙げ句にバッターン!とドアをぶち開けたシーラさんは、その大きな瞳で力一杯僕を睨み付けた。 ああ、また見つかってしまったみたいだ。 ふうとため息をひとつ。 「……シーラさん、また僕のベットの下のダンボールで作ったマトリョーシカ式の宝箱を囮にして、実はマットレスの中に隠していた睡眠薬を見つけましたね」 僕はテレビに映った音痴な顔だけアイドルから、眠剤を沢山両手に抱えたアイドルに視線を写す。 「違うよ。これは本棚のエロ本置き場にあった幼女ものの雑誌(?)の中をくり貫いた所から見付けたの!」 シーラさん、それ雑誌ちゃう。 同人誌や。 「うわー、何その麻薬取り締まり犬もびっくりな嗅覚、プライバシーのへったくれもねぇ。ウザすぎる重すぎ。彼女とかに絶対したくない」 「ぐっ、今日も相変わらず真冬の朝並みの切れるような冷たさの本音……!だから友達いないんだよ分かる!?湊くん!」 「余計なお世話ですよ。とりあえずそれ返してください」 ソファーから立って、シーラさんの抱える眠剤達を迎えにいく。 しかし、「やっ!」というシーラさんの声に阻まれた。 「捨てますからね!湊くんが死ぬのは勝手だけど、プロデューサーに死なれたら困るの!私が!」 「酷すぎません?」 「湊くんがね」 ばさばさばさと次々にごみ袋へ消えていく眠剤。 ああ高かったのにと半分諦め気味に見る。 まあいいか。 マットレスの中は無事らしいし、最悪買い足せば良い。 とりあえず。 「シーラさん、今日は晩ごはんおかず抜きだから」 そう言うと、「えええええ!!!」と声。僕の密かな復讐。 とりあえず、一緒に住んでます。 「…………ん?マットレスの中にまだ隠し持ってんの?湊クン」 「…………げ」 …………買い直しになりそうだ。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加