壱ノ章 サムライ剣志

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木々に囲まれた山道。日が傾き、薄っすらと暗くなり始めた森の中を、一人の少女が歩いていた。 少女の格好は森の中には似つかわしくなく、上質の着物に身を包み、腰には一目で上業物と分かる立派な刀が差してあった。 栗毛色の長い髪に、澄んだ紅い瞳。端正な顔だちは少し幼さが残っているが大人の香りも漂わしている。 彼女は地図を片手に、辺りを見渡しながら歩いていた。 「はぁ、なんなのよこの地図。全然合ってないじゃない」 地図ではそろそろ山あいの村に着いてもいいはずだった。しかし、森は深くなるばかりで、それらしい建物はいっこうに見えてこない。 少女は完全に、道に迷っていた。  
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