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それは今まで見たこともないような壮絶な光景だった。
俺を取り囲むようにして、所狭しと並ぶ禁忌。
不浄の物という烙印を押され、あちらの世界から隔離された哀れな“それら”。
確かについ先程、あちらの世界からやってきた俺からしてみれば、その光景は異様なもの以外の何物でもなかった。
異様で危険で……しかし、どこか甘美な誘惑が漂っている空間。
それが漆黒のゲートの内側の世界。
見慣れない光景に、その不思議な魅力に、俺は無意識のうちに唾を飲み込んでいた。
ゴクリと生々しく喉が鳴り、それを合図に俺は一歩踏み出す。
だが、何せ俺は今日初めてこの世界にやってきた、いわばヒヨッ子。
正直、右も左もわからないような状態で、踏み出したはいいが何をどうすればいいのかもわからない。
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