出陣

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いいや、それだけではない。 今、俺の心臓はあり得ないほどに暴れ回っている。 ドクドクと脈動し、俺の胸を突き破らんばかりに打ちつけているのだ。 何故だ!? 禁忌が、此方の世界が、俺を拒んだというのか……!? ……いいや、違う。 俺が、俺の身体が、禁忌を拒んでいるのだ……! 「……あぁ……っ!」 なんという悲劇!! こんなにも求めてやまないのに、俺の身体はそれを受け入れられるほど強靭ではないのだ……! 「……ちょっと、君」 ……悲しみは連鎖する。 明らかに俺に向けられた呼び掛けに、身体が固くなるのを感じた。 ゆっくりと声のした方を振り向けば、そこには最悪の状況が待ち構えていた。
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