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「……ふっ」
自嘲気味に笑って、俺は手に持っていた禁忌を元々在った場所へ戻した。
そして無言のまま番人に背を向けて、あちらの世界と此方の世界を繋ぐ漆黒のゲートへと歩を進める。
帰ろう。
……あちらの世界へ。
「……四年後に……またな」
ゲートを潜る直前、俺はポツリと呟いて、此方の世界に別れを告げた。
その声は自分でも驚くほど、弱々しく未練がましくみっともなく……揺れていた。
四年後。
俺が成長したら
また、必ず――。
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