一人の馬鹿

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少し先では職人達が家の補修工事をしていた様で、何事かとアルティオ達を見るや否や、脱兎の如く家の中に避難していった。 そこで目を着けたのは、仮組みされていた空中の足場と、その傍に立て掛けられた長い渡し板。 先程倉庫を抜け出した時のように駆け上がり、足場から更に跳躍して屋根の上へ上がってしまう。 「これで大丈夫かな」 「お、お前はなんなのじゃいったい!!」 「さぁてね。どれど―――おっと」 ひょいっと眼下の男達を眺めようと首を伸ばしたら、街中にも関わらず弓矢が鋭い音を立てて目の前を通り過ぎていった。 アルティオは顔を引っ込め、面倒なのでとりあえず逃げることに。 「でも街中で弓が気軽に使えるんだから、相手は貴族様ってことだよねぇ」 「そ、そうなのか!?」 「君は命を軽く扱う人種を、他に知ってるかな?」
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