一人の馬鹿

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良く、馬鹿だ阿呆だと貶されていた。 別に頭脳がどうとかではなくて、単に頭のおかしいような行動をたびたびしていたからだろう。 荒事があればふらりと訪れ、崖から飛び立つ鳥を見たら己も翔びに行く。 その時はおかしい等とは一回も思わないのだ。 しかし事が過ぎ去ってみれば、あぁ、確かに馬鹿な事をしたなぁと思ってしまう。 だが。 そう、だが、後悔はしたことがあまりないのが自慢と言える。 周りの人間からは後悔する頭が無いのだと揶揄されているが、後悔して足踏みするような者よりどれだけマシだろうか。 持論だが、善行を成して徳を積み上げるよりも、多少薄汚い事を成して経験や知識、利益を積み上げることの方が有意義である。 たとえ目を逸らしていたとしても、それがこの世を回す根幹のようでもあり、人の行動を成す根幹であるのは間違いない。
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