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今のところどうするべきか決めかねているので、とりあえず会話してみることにした。
口に咬まされていた猿轡を外してやり、荒い呼吸を繰り返す少女に笑顔を向ける。
「ねぇ、何で誘拐されてるの?楽しい?」
「楽しい訳があるか慮外者め!!」
「うわ、凄い古風な言葉で馬鹿って言われたよ。もしかしたらこの土地で初めてかもね、おめでとう」
「おめでたいのは貴様の頭じゃ!!」
「そんなに怒って疲れない?水あるけど飲む?」
「どうやって飲めと!?いらんわ、たわけ!!」
「じゃあ失礼して」
足元の布袋から水の入った革袋を取り出し、唇を湿らせるように一口含む。
少女は気持ち悪いものでも見るかのようにしていたが、一切気にしていない。
皮袋を仕舞い、再度質問を向ける。
「助けて欲しい?」
「どの口が言うか!どうせ逃がすつもりなどないくせに!!」
「誤解してるみたいだね。僕は君を攫った人達の仲間じゃないよ」
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