94人が本棚に入れています
本棚に追加
そう言うが少女は全く信用していないらしく、睨んだまま口を引き結んでしまった。
どうしたら信用してもらえるかも良く分からない為、ものは試しとばかりに名前でも訊いてみることにした。
「君の名前はなんていうのかな?」
「………」
「予想なんだけど、結構良いとこのお嬢さんだよね?そんなに上等なドレスは初めて見たよ。ここらの貴族や大商人なんて幾らもいないから、調べれば分かると思うんだけど……面倒だから教えてくれない?」
「……仮に、万が一お前が、妾を攫った者共とは無関係とする」
「万が一も何も、実際関係ないんだけどね」
軽く笑うのを無視して少女は厳しく睨んでくる。
その瞳を軽く覗いてみると、そこには誇りや矜恃、そして己の置かれた状況に対しての恐怖や焦りが見て取れた。
最初のコメントを投稿しよう!