一人の馬鹿

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クリスティーナは一瞬、それがアルティオを怒らせたからだと勘違いしかけてしまった。 だが次の瞬間には身体が地に落とされ、更には自由を得ていることに気が付き、衝撃に咳き込みながらアルティオを見上げる。 その手の中には、先程までクリスティーナをキツく縛り上げていた硬い荒縄が握られていた。 驚いた事に、それは力任せに千切られた様に断面がばらばらになっている。 「こんなので拘束されるなんて、力無いんだね」 そう言って荒縄の残骸を倉庫の隅へと投げ捨てた。 そして、倒れているクリスティーナに笑いながら話しかける。 「で、どうするの?逃げる?」 「……ッ!!お前、もう少し優しく下ろせないのか!!」 「そういう文句は後でも良いんだよね。ゆっくりしてたせいで、どうも奴さん達が起きたみたいで」 「…………は?」
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