序章

3/5
前へ
/5ページ
次へ
重厚な自動ドアを抜けると、ひんやりとした空気に包まれ、外の蒸し暑さが一気に吹き飛んでいった。 光が差し込み明るいロビーの10メートルほど奥に受付が見えて、俺は真っ直ぐにそこに向かう。 紺色のブレザーに真紅のスカーフを巻いた受付嬢が三人、俺の事に気づいて立ち上がり笑顔を見せた。 「白鳥部長に会いたいんですが」 「お約束はいただいてますか?」 俺の言葉に、真ん中の受付嬢が答える。 「いやっ、約束はしていないが、染谷(そめや)が来たと伝えてくれたらわかる」 「わかりました。お伝えしますので、しばらくお待ちください」
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加