1 招待

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2-3 「いや、今回は王城ではなく、ここから南に位置する町にご案内したくてな」  あ、とセリューナが声をあげる。 「知っているようだな。農夫の娘といえども侮れん」  言って、豪快に笑いとばす。 「その町は山の斜面にあってな、かつて土着の精霊を崇める一族の住処だったのだが、今は種族そのものが絶滅し、温泉が発見されたことから観光地となっている」 「絶滅…とは?」 「何もない山だったからな。精霊が現れなくなってから、核となっていた少数の一族が絶えたために、皆ふもとへ降りたり便利な平地へ移り住んだりした結果、誰もいなくなってしまったらしい」  原因に戦や事件があったわけではないと知り、アルスはかすかに安堵する。
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