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がたがたと、窓が鳴る。
もういいから出ておいでと呼ばれているような錯覚。
でも、わたしはもうだめだ。誰にも迷惑をかけないように、ここでじっとしていることで精一杯だ、と思う。
あの人に手製の外套を贈ったことをかすかに後悔する。
手慰みに作っていたものを、なぜ届けてしまったのだろう。
もう会えもしないのに、思い出してもらえるようなものを、なぜ。
目をあけているのもいやになり、うつむいてしまった時だった。
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