プロローグ

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1-6  思わず「結ぶの?」と声をかけると、肯定するように数度首をさげた。  遊んでほしいのかな、と思う。  竜族は長命なため、ひとをからかって遊ぶことが大好きなのだと子供のころに絵本で読んだことがあった。  しかし、水飛竜は結んだロープを引きほどき、不満そうにする。  もっときつく結んでほしいらしい。  望むとおりにしてあげると、水飛竜はぱたたと飛んでいってしまう。  一体なにをさせたかったんだろう、と思っていると、ロープが軋んだ。  かなり重いようなものを吊り下げている、と思った瞬間、水飛竜がなぜこんなことをしたのかを悟った。 「どう…して……」  もう一歩も動けない。  逃げることも進むことも。 「こんな場所からお邪魔します」  声をかけられる。  ゆるく編まれたながい髪。  見覚えのある外套。 「レイリューン…さん」  清冽な薄い水色の瞳がこちらを見ていた。
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