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ーー蒼湖が宥め、漸く泣き止んだウンディーネだったが……。
「戻りたくねーってかい」
紅姫が頭をガリガリ掻きながら溜め息を吐いた。
困った事に、ウンディーネがサファイアに戻ろうとしない。
蒼湖の首に腕を巻き付け、しがみついたままだ。
コロシアムまでは戻るのに三日三晩かかる。
このままでは移動出来ないのだが……。
戻りたがらない理由が理由なだけに、密と一葉も、紅姫同様何も言えなくて――。
「蒼湖、真名はどうやって取り返すんだ?」
「取り返せませんよ。真名も、ウンディーネも」
「・・・・は?」
「え、真名もウンディーネも? えーっ!? 奪還しに来たんじゃないの!?」
尋ねた密と返事を聞いた一葉は、蒼湖の思いがけない言葉に目を白黒させる。
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