Ⅳー④

2/27
138人が本棚に入れています
本棚に追加
/1489ページ
ーー蒼湖が宥め、漸く泣き止んだウンディーネだったが……。 「戻りたくねーってかい」 紅姫が頭をガリガリ掻きながら溜め息を吐いた。 困った事に、ウンディーネがサファイアに戻ろうとしない。 蒼湖の首に腕を巻き付け、しがみついたままだ。 コロシアムまでは戻るのに三日三晩かかる。 このままでは移動出来ないのだが……。 戻りたがらない理由が理由なだけに、密と一葉も、紅姫同様何も言えなくて――。 「蒼湖、真名はどうやって取り返すんだ?」 「取り返せませんよ。真名も、ウンディーネも」 「・・・・は?」 「え、真名もウンディーネも? えーっ!? 奪還しに来たんじゃないの!?」 尋ねた密と返事を聞いた一葉は、蒼湖の思いがけない言葉に目を白黒させる。
/1489ページ

最初のコメントを投稿しよう!