一、紅色紅葉

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文久三年九月―― 空は秋晴れ、町は賑やか、紅葉は染まる。 京の町は華やかで賑やか お父さんのお使いをするために、私は京の町を歩いていた。 (えーっと……) 頼まれたお使いは薬なのだか…薬屋がなかなか見当たらない。 キョロキョロと店の看板を見ていると、近くから大勢の足音が聞こえてきた。 振り向くと朝霧色が目に入った。 朝霧色の羽織りを着た数人数の武士達は、私が居る道を通り過ぎた。 「……格好良い」 看板を眺めていた私は、気が付くと目線は不思議な武士達を見ていた。 「でもあの人達…何者?」 「新選組」 独り言を言っていると、後ろから声が聞こえてきた。 振り向くと男の人が立っていた。 「新選組?」 「京の町を守る壬生狼の者達だよ。知らないの?」 「全然!そんな格好良い人達がこの町に居たなんて!」 「……」 男の人はキョトンと目を丸くして、笑い出した。 「ふふ…格好良いねぇ…そんなにやってる事は格好良いとは言えないよ」 「そう…なんですか?」 「うん。まぁ、君みたいな天然な子に言われるのは悪くないよ」 「そ、そうですか」 つい嬉しくなってしまった。 「ところで何かお探しなの?」 「あ、はい。薬屋を探してまして…」 「薬?この近くの薬屋ならあっちにあるよ」 そう言って向こうの店を指す。 「あ…ありがとうございます!」 そう言ってお辞儀をすると、私は薬屋に走った。
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