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「この薩摩潘士様にガキが勝てるとでも?」
「うるさい!父さんの仇をとってやる!」
捺野兄は得意げのように刀をぶつけるが、だんだん力が無くなって速度も落ちていた。
そして私を見て捺野兄は決意してしまった。
「華奈!お前だけでも逃げろ!」
「!?」
布団に潜りたいほど怯えていた私は、捺野兄の願いをすぐに聞けれなかった。
でも何も出来ない私は、刀を持って外へ走った。
(捺野兄…)
未だ決着の見えない捺野兄にまた会えることを祈りながら……
「こら待て!」
「!!」
後ろからまた別の薩摩潘士が、私を追いかけて来た。
(どうして…どうして私達は追われなきゃいけないの!?)
心辺りは確かにあった。でも…こんなやり方で狙ってくるとは想像出来なかった。
京の町まで走って来たが、まだ彼らは私を追う。
行く宛ても、逃げ場所も見当たらないまま走り続けた。
「きゃっ…」
しかし走り続けたせいか足をくじいて転んでしまった。
土に手を付けた頃はもう、薩摩潘士に囲まれていた。
「さあ、もう逃げられないぞ“狐”」
「大人しく我ら、薩摩潘の狐になり、我らの命令を聞くんだな」
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