一、紅色紅葉

6/6

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
「何?あの薩摩潘…」 近くから別の武士が来て、私は彼を見る。 「………!」 そして彼を見たとたん、彼の周りから幻想紅葉が舞い散っていた。 「あれ?君…」 武士は目を丸くした。その武士は…あの時にあった“彼”だった。 「………―――」 何に落ち着いたのか、私は力が抜けて倒れた。 「え…おい!」 意識が途切れる時、捺野兄の声を思い出した。 『華奈、今日良いことでもあった?』 (あったよ…思い出したよ…) 彼が傍に来た時、不意につぶやいた。 「アカネイロノモミジ…」 彼にあったあの時、私の大好きな茜色の紅葉が幻想紅葉として彼の周りで散っていた。 それは私の錯覚だったけれど、私は嬉しくて微笑んだ。 赤く、朱く、紅く染まった紅葉の葉… 私の周りで舞い散って……
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加