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「何?あの薩摩潘…」
近くから別の武士が来て、私は彼を見る。
「………!」
そして彼を見たとたん、彼の周りから幻想紅葉が舞い散っていた。
「あれ?君…」
武士は目を丸くした。その武士は…あの時にあった“彼”だった。
「………―――」
何に落ち着いたのか、私は力が抜けて倒れた。
「え…おい!」
意識が途切れる時、捺野兄の声を思い出した。
『華奈、今日良いことでもあった?』
(あったよ…思い出したよ…)
彼が傍に来た時、不意につぶやいた。
「アカネイロノモミジ…」
彼にあったあの時、私の大好きな茜色の紅葉が幻想紅葉として彼の周りで散っていた。
それは私の錯覚だったけれど、私は嬉しくて微笑んだ。
赤く、朱く、紅く染まった紅葉の葉…
私の周りで舞い散って……
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