二、天然剣士

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「ん…」 朝日が町を照らし、私を起こす。 見渡すと和室 ここが何処なのかわからない… 襖がゆっくりと開いて、見覚えのある人が出て来る。 「あれ、起きてたんだ。体は大丈夫?」 「は、はい…」 昨日、あの時に会った彼は私の方に近づくと額に手を付けた。 「熱は…まぁ、下がったかな」 「……熱?」 不思議につぶやくと、彼は焦り気味で話した。 「君、刀振った後倒れちゃったんだよ?…覚えてないの?」 「全然…」 薩摩潘士に刀を振った事は覚えている。でもそのあとは…… 「………」 彼は無言のまま、私を見つめていた。 「……君さ、女の子なんだよね?」 「?…はい」 「剣術って誰から教えてもらった?」 「両親から半分……」 「……ふぅん…」 彼は不思議そうな顔をしたあと、心が揺れてしまうほどの微笑みを浮かべた。 「凄いね。女の子がそんなに上手いなんて」 「……」 褒められるとは想っていなくて、私は顔を真っ赤に染めた。 「あれ?顔赤いけれど…大丈夫?」 「へ、平気です……」 (この人…凄く意地悪だぁ~!) 恥ずかしくて横を向くと、彼はこう言った。 「だから強い君と勝負しない?」 「……え」 振り向き直すとまた意地悪な顔だった。 「勝負…?」 「うん。木刀でね」 ニコニコと話され、理解するのに時間がかかった。 「な、何故ですか?」 「んー?僕が見てみたいから。君の剣裁き」 「はぁ…」 「それに――」と言って私に見せたのは、私の愛刀…… 「僕に勝たないと刀は帰してあげないから」 「え…」 「やるよね?」 「……はい」 ニコニコと私に見せる彼の笑顔が、…少し怖く感じた。
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