『曼珠沙華と赤い糸』

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   煤けた格子戸の隙間から  差し込まれた上等な和紙  愛しています などと  月並みな文句で  口説かれたなら  お戯れをと 鼻で笑い  破り捨てる事が  できたでしょう   ………………    貴女が   この世に生を受け   目の前に   現れてくれたこと   感謝しております   いつか   死に別れるまで 労り合い   精一杯生き 思い出を重ね   生まれてきて良かったと   思わせてあげたい     貴女を幸せにします   僕の所へ来ませんか    ………………  熱いものが  込み上げて  文が震え  字が霞む    矢も盾も堪らず  迎えを待たずに  駆け出していた  
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