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プロローグ
「貴哉君。早く来てよ」
視界が陽炎のように歪む中、少女がベンチに座る少年に手招きしていた。
「……勝手に行ってろ」
少年はだるそうに言うと、少女は苦笑しながら溜め息をつく。
「早く来ないと先に行くからね」
そう笑顔で肩から顔を覗かせ、歩んだ。
しかし、歩いた先には車道。しかも信号は赤だった。その事を知らず少女は無邪気に信号を渡り、少年は慌てた表情で少女の元へ走った。
車のクラクションが少女の頭に響き渡り、気づいた時には少女の視界には鉄の塊が風圧と共に迫り来る。
そして……
鈍い音と同時に大量の血飛沫が舞い上がった────
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