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聳え立つ摩天楼、消えない灯り、眠らない街。
人はどんどん夜を照らし、暗闇を喰らっていく。
しかし、影は消えない。
光が強くなれば、影もまた濃く、深くなっていく。
それは、当たり前でごく自然な理。
そして、時として影は光の元へと出てくる。光の中に立つ者達を喰らうために。
だけど、光には番人がいる。出てくる影を散らす者達が。
そう、ここにも一人、摩天楼の群れの一角に立つ番人がいる。
「行こうか」
黒服の彼は、ゆっくりとビルの縁に立った体を奈落の底に向かって傾かせ、その身を投じる。
光と影、両方の境界線に身を置く彼らを人はこう呼んだ。
ーーーーーー拝み屋
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