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花人(ハナヒト)、と呼ぶ人がこの世界のどこかにいるそうだ。
花の化身である彼等は、花が咲けば生まれ散れば共に眠りにつくらしい。
ここ、花開町にはそんな伝説があった。
そして、私は花人を見たことがある。
どうして、言い切れるのかと言うと花の化身だと納得してしまうくらいその人はとても美しかったから。
当時伝説も知らない幼い私には、一瞬それが何なのか想像もつかなかったけれど人間離れした美しさだけは覚えている。
あの日のことは忘れられない。
季節は春を過ぎ去り、とうに夏真っ盛り。
桜なんて咲くはず無いのだから。
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