* おさんぽおでかけ

2/3
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
ベナウィ 「──次に、こちらの砦ですが……」 ハクオロ 「うむ……」 カルラ 「あるじ様  おでかけの時間ですわよ」 アルルゥ 「おと~さん、お散歩」 ハクオロ 「……珍しい取り合わせで誘いに来てくれたのはうれしいが、あいにくとまだ仕事中なんでな。でかけるのは、また今度──」 カルラ 「あら。それは数刻を争うほど火急のお仕事なんですの?」 ハクオロ 「いや、まあそこまでは……」 カルラ 「ですわよね。  それにお仕事はいつでもできますけど、こんなに気持ちのいい日はめったにありませんもの。おでかけしないのは、人生の損ですわ。」 ベナウィ 「………。」 カルラ 「──侍大将殿はご不満のようですわね。聖上をお引き留めなさりたいのでしたら、それでも構いませんのよ?ご遠慮なくそちらから引っ張ればよろしいわ。私も容赦なく、侍大将殿ごと持っていくだけの事ですもの。それに──」 アルルゥ 「おと~さん  おと~さん、もうずっとお仕事。今日は、散歩する。」 ハクオロ 「そんな顔されると……」 カルラ 「さあいたいけな瞳を裏切れますの。もっとも嫌だと仰っても問答無用で持っていくだけの事ですけど」 ハクオロ 「さては、それでアルルゥを連れてきたな。」 ベナウィ 「──このところ、周辺に不穏な動きもみられませんし、閉籠(こも)ってばかりで聖上にカビが生えても困ります。  いいでしょう。虫干しにおでかけください」 ハクオロ 「ベナウィ……虫干しって…」 ベナウィ 「ただし、私もご一緒いたします。聖上の御身に何かあってはいけませんから。  それに。遊んだ分仕事は溜まる一方だということを御忘れなく。」 ハクオロ 「ははは」 カルラ 「よかったですわ。そう言っていただけるだろうと思って、じつはもう準備を始めていましたの。」 エルルゥ 「おかずこのくらいあれば大丈夫かしら」 オボロ 「敷物はこれでいいか?」 ハクオロ 「?……さんぽの準備?」 エルルゥ 「お弁当は用意してあるから。おやつは300円までよ?」 アルルゥ 「お───」 ハクオロ(M) 「もしかして遠足なんだろうか?」
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!