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ベナウィ
「──次に、こちらの砦ですが……」
ハクオロ
「うむ……」
カルラ
「あるじ様
おでかけの時間ですわよ」
アルルゥ
「おと~さん、お散歩」
ハクオロ
「……珍しい取り合わせで誘いに来てくれたのはうれしいが、あいにくとまだ仕事中なんでな。でかけるのは、また今度──」
カルラ
「あら。それは数刻を争うほど火急のお仕事なんですの?」
ハクオロ
「いや、まあそこまでは……」
カルラ
「ですわよね。
それにお仕事はいつでもできますけど、こんなに気持ちのいい日はめったにありませんもの。おでかけしないのは、人生の損ですわ。」
ベナウィ
「………。」
カルラ
「──侍大将殿はご不満のようですわね。聖上をお引き留めなさりたいのでしたら、それでも構いませんのよ?ご遠慮なくそちらから引っ張ればよろしいわ。私も容赦なく、侍大将殿ごと持っていくだけの事ですもの。それに──」
アルルゥ
「おと~さん
おと~さん、もうずっとお仕事。今日は、散歩する。」
ハクオロ
「そんな顔されると……」
カルラ
「さあいたいけな瞳を裏切れますの。もっとも嫌だと仰っても問答無用で持っていくだけの事ですけど」
ハクオロ
「さては、それでアルルゥを連れてきたな。」
ベナウィ
「──このところ、周辺に不穏な動きもみられませんし、閉籠(こも)ってばかりで聖上にカビが生えても困ります。
いいでしょう。虫干しにおでかけください」
ハクオロ
「ベナウィ……虫干しって…」
ベナウィ
「ただし、私もご一緒いたします。聖上の御身に何かあってはいけませんから。
それに。遊んだ分仕事は溜まる一方だということを御忘れなく。」
ハクオロ
「ははは」
カルラ
「よかったですわ。そう言っていただけるだろうと思って、じつはもう準備を始めていましたの。」
エルルゥ
「おかずこのくらいあれば大丈夫かしら」
オボロ
「敷物はこれでいいか?」
ハクオロ
「?……さんぽの準備?」
エルルゥ
「お弁当は用意してあるから。おやつは300円までよ?」
アルルゥ
「お───」
ハクオロ(M)
「もしかして遠足なんだろうか?」
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