プロローグ

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「そういや、今日発売日だっけ」 少女はそういってコンポの電源を切った。ヘッドホンを外して机に置くと棚にびっしり置かれたCDを覗き込む。 「これ、全部水野奈々のCD?」 「一応全部持ってる」 「本当に好きなのね。その新曲今やってる〈魔法少女マジカル☆ティナ〉のEDでしょ?」 「何だ?それは知らん」 「アニメ見ないの?」 「あぁ」 水野奈々は歌手以外に声優としても仕事をしている。そういった水野奈々に関する情報は知っていたが、あくまで俺は歌手としての水野奈々が好きだからアニメを見るとかそういう事はない。オタクじゃないし。 「今、オタクじゃないからとか思った?」 「え」 心を読まれたかと心拍数が上がる。 「顔に出てるわよ、でもあなたはオタクね」 「どこが」 「アイドル...いや水野オタク?」 「あくまで歌手として好きなんだが」 「それで充分。てかそこまでいったら完全な水野オタクになれると思うわ、このCD達が証拠」 「結構だ」 「素質あるのに」 「どーでも。てか、今更なんだがあんた誰だ?中学生がこんな時間に外に出てたら親が心配すると思うんだが」 俺は腕組みをして少女を見た。
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