Tatuya,Dream First Mission,Wandering mind,With Jun.

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城に入るとハープの音色。 誰が演奏しているのかは知らないが 何時もながらに貴方に会った日の事を 思い出させては虚しくさせる。 コンコンッ 「はい。」 あ、あの人の声……。 「総隊長よりマリ様への言付け何ですが ユリ様にも本日中に見ていただきたい 書類が幾つかこまざいまして、持って…… 参りました。」 「いいよ、入って。」 ユリ様の声に安堵して、 「失礼します。」 ガチャ 入る手前で、 「こちら……!!?」 扉で隠して触れてくるのは惇の唇。 「助かった。有難う。」 貴方が笑っただけで、 貴方に触れてもらうだけで こんなにも煩く鼓動が鳴く。 「あ、貴方は………いえ、失礼します。」 動揺を隠せるように唇を袖で拭い、 貴方を素通りしてユリ様の所へ。 「こちらになります。」 「有難うございます。 お疲れになったでしょ? 使いの者にお茶を用意させます。」 「俺が用意します。」 「お願いしますわ。」 惇はそのまま部屋を出ていって、 帰ってくる前にユリ様は書類に 目を通されソファーに座って待つ 私の前に置いた。 「遅いですわね。」 「私も忙しい身なのでこれで。」 ユリ様は隣に座って裾を引っ張ってくる。 「待ってもらっても良いですか?」 「す、少しなら……」 上目遣いをされると弱く再び座った。 「ねぇ、貴方はマリの星好き?」 「えぇ。私はあの世界だからこそ 守りたいと思っております。」 「もし、マリが貴方じゃない誰かと 婚儀を挙げても変わらない?」 「マリ様が幸せならば」 「そっか、それはマリも同じだって事を 忘れないでね。」 え? 「マリの幸せは、皆の幸せだよ。 誰が欠けても駄目なの。 皆が笑ってないとあの子は笑わない。 泣かせたら私は君を許さない。」 ん? 「分かってくれてます?」 「はい、かろうじて……。」
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