鬼の影

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 だんだんとお義母様のお世話にも慣れ、何度も会話を交わしていく内に富一が私と所帯を持ちたいと思っているとお義母様が仰いました。  その時の驚きは、もう、なんと言えば良いのか解りませんでした。  聞けば、お義母様のお世話を頼んだときから富一はそう望んでいたと言うのです。なるほどあの小難しい顔は、私が嫁になるべき人かを見定めていたのでした。  そして、私はお義母様に認められ富一と一緒になったのです。 「そうだよ。多分、お前を一目見て富一は嫁にしたいと思ったのだろうね」  私の告白とでも言えそうな話を聞き終えたお義母様は、優しく呟かれました。 「それじゃあ、話を戻そうか。私はこの世に鬼がいると言った。それも人の姿をした、ね……」  私は頷きました。その時のお義母様は私を見ながら私を見ずに、何処か遠くを見ておりました。 「お義母様は……鬼に会ったんですか?」  お義母様が――いや、お義母様の心が、私に向けられるのを感じました。
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