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キンコーン カンコーン
4時限目の終了を告げるチャイムが鳴り響き、学級委員の号令が終わると同時に俺と慎司は教室から飛び出した。
少し遅れて紫音も飛び出す。
廊下を疾風の如く駆け抜け、1階へと続く階段を一気に駆け降りる。
売店のある食堂を目指して。
「ちっ、ちょい出遅れたかっ」
食堂に群がる生徒達を見て、俺は舌打ちした。
「突撃あるのみだぜっ」
そう宣言して人込みに突入する慎司。
「どけっ、おるぁ~っ」
目の前に広がる人という人の襟首を掴んでは引っ張り剥がしている。
「よっ、と」
俺も負けじと目の前の人垣を掻い潜る。
「もぉ~、どきなさいよっ」
俺のすぐ側で紫音も同じ様に人垣を掻い潜っていた。
紫音も今日の昼飯はパンらしい。
「どけって言ってんだろっ」
前に立ち塞がる人垣をどんどん引っ張り剥がしていた慎司がもうすぐゴールに辿り着こうとしていた。
だか、
「うわっ、ちょっ、てめぇ~」
足を引っかけられたのか、すくわれたのかバランスを崩す。
その隙を狙われて慎司は引っ張り出されそうになる。
「か、一輝。た、助けろっ」
「あん?なんで?」
助けを乞う慎司に俺は人垣を掻き分けながら、そう聞いた。
「ちょっ、俺達は親友だろっ?」
そう哀願しながら俺にしがみ付こうとする慎司。
そんな慎司を振りほどき
「ん~にゃ」
と笑顔で俺は答える。
ついでにオマケで蹴りも入れておいた。
「う、ウソだろ?う、うわぁぁぁぁぁーっ」
信じられないものを見たという顔をした慎司が次の瞬間、人込みの藻屑と化して消えていった。
さらば、慎司。
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