変わらぬ日常

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「ふぅ…」 ようやく、パンの売店前という名のゴールに辿り着いた俺はため息を吐きながら陳列されたパンの物色をする。 「何すっかなぁ」 定番の焼きそばパンからコロッケパン…色とりどりあるが、あまり迷っている暇はない。 なんとかこの場所に辿り着き死守しているとはいえ、長くは留まっていられないはず。 すぐにでも、人波に飲み込まれてしまうだろう。 「だ~か~ら~、どきなさいってばも~っ」 やや後ろから、紫音の怒声が響きわたる。 同時にバシッやドガッとかいう音と共に…。 振り向いて見る事もなく、紫音が周りの生徒達を叩き伏せている光景が脳裏に浮かんだ。 そんなカオス、早く抑えねば。 「お~い、紫音。欲しいパン言えば代わりに買っとくぞ~?」 振り向いて、そう叫ぶもすぐ後ろには大勢の生徒達で紫音の姿は見えない。 「ほんとっ?じゃぁ、メロンパイとテキト~に何個か宜しく~っ」 嬉々とした声が飛び、同時にバシッといった音も止む。 ん?メロンパ"イ"?メロンパ"ン"ではなく? 「あぁ?メロンパイ?」 聞き間違えかもしれないと俺は聞き直す。 「うんっ、チョコメロンパイっ」 どうやら、聞き間違えではないらしい。 「おばちゃんっ、チョコメロンパイってのある?」 どんなものかは知らないから、売店のおばちゃんに聞いてみる。 「あいよっ、チョコメロンパイね」 愛想良い声でチョコメロンパイらしきパンを放り投げてくる、おばちゃん。 それを受け取った俺はマジマジとチョコメロンパイを見た。 見た感じはアップルパイにチョコをかけた感じ。 とりあえず、他にもいくつか適当に身繕い、会計を済ましてすぐに人垣をかき分けて戻った。 「お疲れ~」 人が少ない場所まで戻った俺に右手をヒラヒラしながら寄ってくる紫音。 左手には2本のパックのジュースを抱えてた。 「飲み物、買っておいたよ」 「サンキュっ」 俺が紫音の分もパンを買っておくという事で、紫音は飲み物を買っておいてくれた様だった。 「んじゃ、教室戻ろっか?」 「あぁ」 無事に昼飯を確保した俺達は教室へ戻る事にした。 んっ、何か忘れてる気もするが…まぁ、いいだろう。
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