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『おっはよ~、朝だよ。早く起きて起きて…』
気持ち良く寝てる俺の耳に入り込む声。
『まだ起きないの~?早く起きないと遅刻しちゃうよ~?』
まだ起きないでいる俺の耳の中に更に入り込む。
『………』
それでも、俺はまだ目覚めないでいた。
『早く起きろって言ってんのが分からんのかっ、ああんっ?』
ビクッ!?
ガバッ!!
突然の怒声にベッドから跳ね起きる俺。
そして、辺りをキョロキョロと見渡す。
当然ながら、自室には俺を除く人はいない…一人暮らしだから当たり前だ。
いたら、それは怖い…。
『まだ起きねぇなら、○○○に手ぇ突っ込んで×××引っこ抜いて△△△ガタガタ言わすぞっ、ゴルァ~』
ビクンッ!!
更に続く恐ろしい事を吐く怒声にビクつき、辺りをまた見回す。
やはり、人は誰もいない。
人は…。
俺は声がした方向に目をやる。
『…ゴルァ~』
まだ恐ろしい事を吐き続ける主が俺の瞳に映る。
黒の円形。
上部には耳らしき三角形っぽいものがちょこんと2つ。
おそらく目であろう糸の様な棒線が2つ。
その棒線同士の間のやや下に鼻らしきもの。
横からは左右対象にヒゲらしきものが3本ずつ伸びている。
そして、下には大きな白い円。
おそらく口であろう円の中には周りに数字、中心から延びた針4本。
声の主はこの物体から発せられていた。
「んだよ…これ」
まだ恐ろしい事を吐き続ける物体に思考停止しかけ、そう呟いていた。
とりあえず、その物体の頭をぶっ叩いて声を止める。
「ふぅ…」
ため息をつき、改めてさっきの物体を見る。
物体の口の中…短針は7を指し、長針は6を指している。
つまり、今7時半であるという事。
遅刻とまではいかないが、確かに起きないといけない時間ではあった。
「…仕度するか」
そう呟き、俺は立ち上がった。
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