変わらぬ日常

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キンコーン カーンコーン 校門をくぐった直後、予鈴のチャイムが鳴り響く。 校門の後ろに構える生徒指導を尻目に俺は走る速度を更に上げ、昇降口へとなだれ込む。 本鈴が鳴り、担任が来るまでが勝負。 上履きに履き替えた俺は再びダッシュした。 2年の教室がある2階へと続く階段を一気に駆け上がり【2-E】と掲げられた教室の前で立ち止まる。 ワイワイ… まだ本鈴前で担任が来てないのであろう。 教室内は賑やかにざわついていた。 俺はホッと息をついて教室内へと入る。 そして、自分の席に着くと鞄を机に放り投げドカリと座る。 「…はぁ」 座った途端、疲れがドッときてため息。 朝イチからのダッシュは本当に疲れる。 「おっはよ~」 バシッ!! その声が俺の耳に入り込むと同時に右肩に衝撃が走った。 振り向いた目に飛び込んで来たのは紅く揺れる髪の毛。 大半の奴に聞けば『美人だ』と答えるであろう、ぱっちりとした目に整った鼻筋。 制服の上からでも分かる豊満なバストにキュッと締まったウエスト。 こんな美人な娘に笑顔で挨拶されたら、大半の男は有頂天になるであろう。 「あぁ、紫音か…はよ」 俺は普通に挨拶を返した。そして 「相変わらず、すげぇ色だな」 紫音の紅く染められた髪を見つめ、そう呟いていた。 その言葉に、何を今更と言わんばかりの目をする紫音。 「別に校則違反って訳じゃないし、これも個性の1つよ」 横髪をかきあげニッコリと笑う。 そう、この学校…桜花学園は自由な校風である。 生徒の個性を伸ばすのがモットーで、髪型等の規制が緩い。 当然、髪を染めていても問題ない。 服装も一応、制服はあるが私服での登校も可。 ただ、この学校の制服は結構人気があるので私服登校する人は少ないが…。
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