変わらぬ日常

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キンコーンカーンコーン 本鈴を告げるチャイムが鳴り響く。 それとほぼ同時に教室に入ってくる担任。 それを見て慌てて自分の席へと着き始めるクラスメート達。 「起立っ」 学級委員の号令でクラスメート全員が立ち上がり 「礼っ。着席」 そして、再び座る。 だが、慎司だけは俺の席の前で直立不動のまま固まっていた。 「立花っ、何しとるかっ」 担任の叱咤でハッと気が付く慎司。 教室のあちこちで「クスクス」と笑う声が漂う中 「い、いえっ」 慎司は慌てて自分の席へと着いた。 それを確認した担任は順番に出席を取り、今日の連絡事項等を伝え始めた。 ホームルームが終わり、担任が教室を後にすると1時限目が始まるまでの短い時間は再び教室内はワイワイと賑わいだす。 慎司はというと、紫音のツッコミが効いたのかふて寝してる。 まぁ、ヘタレは事実なんだし。 「事実じゃねえ!!」 急にガバッと起きて叫ぶ慎司に教室は一瞬シーンと静まりかえる。 てか、エスパーなのか?慎司は…。 1時限目が始まり、黒板に当たるチョークの音だけが鳴り響く教室。 これから退屈な時間が始まる。 1時限目…2時限目と続き、それが終わった後の休憩に慎司が俺の席へと近づいて来た。 「ところでさ、今朝は2人で何話してたんだ?」 俺の席の隣にいる紫音にも聞こえる様に聞いてくる慎司。 俺が答えるよりも早く紫音が先に答えた。 「それがさ~、ヌコ目覚ましプレゼントしたのに一輝が遅刻ギリに来るのよ」 俺をジト目で見ながら。 それを聞いた慎司が吹き出す。 「えっ?あのヘンテコ目覚まし?」 慎司にも見せた事あるんだろうか紫音は。 そう思いながら、俺はチラリと紫音をみる。 その瞬間、背筋に冷たいものが駆け巡った。
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