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俯く紫音。背後に立ち上る黒いオーラ。
俺の本能メーターの針は危険値を指してる。
俺は脱兎の如く、教室から廊下へと退避。
クラスメート達も危険を察知したのだろう、慌てて退避。
「えっ!?えっ!?」
いまいち状況を把握できず周りをキョロキョロと見渡しあたふたする慎司。
そんな慎司に薄笑いを浮かべて見る紫音。
右手を机の横に掛けている鞄の中に突っ込み…。
ズルズル
中から白っぽい細長いモノを引き出していた。
ソレを抜き取るとユラリと立ち上がる紫音。
紫音の右手に握られるソレは遠目からでも分かる長いハリセンだった。
てか、どうやって入ってたんだ?明らかに鞄より長いぞ…。
「えっ!?えっ!?」
そんな状況でも把握できずにいる慎司。
これから起こるであろう地獄が分からないとは。
憐れ…慎司。南無。
「で、ヌコ目覚ましが何だって?慎司くん?」
優しく、笑顔で慎司に聞く紫音。
目は笑っていない。
そんな異様な雰囲気を放つ紫音に慎司は畏れを感じ取ったのであろう、額から汗が流れだした。
「ヘ、ヘンテコ目覚まし…」
恐怖に包まれながらも、そう言い切った慎司。
す、すげぇぜ…慎司。
お前のヘタレは撤回だ。
俺は素直にそう讃えた。
だが、その一言で紫音の背後に揺らめく黒いオーラは更に激しさを増した。
「へぇ、そう…」
ポツリと呟くと同時に紫音の瞳が光る。
「ひ、ひぃぃぃっ」
それを見た慎司は情けない叫び声を上げる。
あ~、ヘタレ撤回の撤回だな。
逃げようとする慎司。
だが、それよりも早く紫音の右手に握られたハリセンが風を切って動いた。
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