第五章 少女に行き場は無くて

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「違う。私が、私が心配なのは、一人になること」  え? と、それはどういう事かと問うように驚く一真の目の前で――月は身体を貫かれて倒れる。 「――?」  現実に思考が追いつかなかった。月の腕が、一真の身体にもたれ掛るようにしがみ付き、だが適わず、地面に倒れる。漆黒に輝く髪が顔を打ちながら舞い落ちた。 「私達に、いき場なんてない」  闇の中で光を放ちぼうっと浮かび上がる白の髪。亡霊の叫びに揺らめかせながら彼女は近づく。 「だから、ここで終わらせるの。陰陽少女の、のろいを」  その瞳は闇よりも濃く、故にはっきりと存在を示した。 「ふっふふ、あはははははははははははははははは――」  少女の血に濡れた異形の太刀を愛おしげに見つめ、沙夜は嗤う。 この世の闇を、それに抗う者達を。 「あ……」  床に倒れた少女の骸はもう動かない。そして、今度こそ。  一真の内から闇が吹き出した。
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