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一般的な中流家庭に産まれ、特に頭がよかったわけでもなければ、悪かったわけでもない。普通に進級、進学して、無難に周りと同じように就職した。友達が少ないとも思ってないし、彼女がいたことも何度かある。
至って普通な人生だ。まさに平凡。それに不満なんてないし、このままが一番だと思う。
「にあ」
「……ん? あぁ、わりぃわりぃ。手止まってたか」
――でも。
「にあにあ」なんて不思議な鳴き声ですりすりと手にすり寄る毛玉を、また優しく撫でる。ゴロゴロと気持ち良さそうに喉が鳴るその可愛らしい姿に、わけもなく自然にくすりと笑う。
――今、過去(うしろ)を振り返ったとしたら
「お前は気楽でいいなぁ」
「にあっ」
「あ? なんだお前、自慢か~?」
「にあ」
――俺には何が残るのだろうか。
ゆっくりと、しかし確実に進む時の中。俺はごく平凡に日々を過ごしながら、その平凡に疑問を投げかける。
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