Ange

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 先生は全てを包み込んでくれる。こんな私ですら。  だからこそ私は――。 「知ってますか? 焔さん。優しい子供は天使になれるんです。焔さんはきっと立派な天使になれますね」 「っ……」  ――チガウ。私にはそんな資格ない。勘違いするな。 『――そんな形(なり)で――……』 『オマエみたいな悪魔が――……』  ――ウルサイ。ウルサイウルサイウルサイ!!!  優しく、温かく引いてくれる手が途端に気持ち悪くなる。 「あは、は、嘘まるだしの励ましなんて吐き気がするんだってば。先生?」  ほら、最低だ。私はやっぱり悪魔。  優しくて、温かかった先生の手がスルリと抜ける。ツキンと胸の奥に何か刺さったような気がした。 「焔さん」  呆れたような先生の声。  
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