二章

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 何言ってんだ、この会長さんは?自分が今とんでもない発言をした事に気付いているのか?  目を輝かせてこちらの返答を待っているところを見ると、どうやら深い意味は無いらしい。俺は軽く溜息を吐いて返事をする。 「生徒会には興味が無い。それとさっきみたいな台詞は心に決めた奴に対して使え。」 「ならば、君は生徒会に興味を持てば入ってくれるという訳だな!」 「何故そうなる…………まぁ良いや。それじゃぁな、ネイラ会長。」 「むぅ、はぐらかすか。それでも私は諦めないからな!」  もう嫌だよ、この人。お願いだから勘弁してくれ。  目立つ事が嫌いな俺は、頭痛を感じながらそう思わざるを得なかった。  そして時は流れ、六時間目終了のチャイムに俺は起こされていた。そこまでの経緯?五、六時間目は睡眠に費やしていたから授業なんてこれっぽっちも聞いてないな。  既に知っていることをだらだらと聞くなんて、とてもじゃないが授業に参加する気にはなれない。  という訳で今は帰りのホームルームを聞き流しているわけだが……。 「連絡事項は特に無…………いや、あったわ。現在『ミスリード樹林』の生態系が不安定だから絶対に近づかないように、だってよ。じゃあな、ガキ共。」  相変わらずぐだぐだだな、イザナギ担任。しかも言うだけ言って自分はとっとと教室を出て行っちまうし。……あいつどうやって教師になれたんだ?  それにイザナギ担任が話している最中、ハーレム主人公はピクリと肩を震わせバカにいたっては見て分かるほどに動揺していた。  ……凄く嫌な予感がする。どうやらイザナギ担任は去り際にとんでもない爆弾を残して行ったようだ。  俺は重い腰を上げ、いつも通り誰の目にも留まらずに教室を抜けてギルドへ向かう。そうするはずだった。しかし、ここで思わぬ刺客に道を阻まれてしまう。 「やあ、カイト君。今日は君が生徒会に興味を持ってくれるべく、ここまで馳せ参じてやったぞ。」  教室の扉の前には深い紫色の髪をした女子生徒が、笑みを浮かべながら通り道を塞いでいた。一瞬目眩がしたが、すぐに平静を装い紫髪の女子生徒の横を通り抜けようと試みる。 「人が話しかけているというのに無視は酷いのではないか?」 「…………すみません、人違いなので離してはもらえないでしょうか?」  見ればブレザーの裾をがっちりと掴まれていた。
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