二章

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「どうしてそこまで俺に固執するんだ?」 「カイト君は生徒会にふさわしい実力がある。ぜひともその力を学園のために役立ててはくれないか?」 「……俺のことを過大評価し過ぎだ。何を以ってそうと言い切れる?」  なるべく平静を保ってネイラ会長と話しているが、さっきからクラスの連中の視線が背中に突き刺さり制服の中が冷や汗で大変なことになっている。  何度でも言おう。俺は目立つことが大嫌いだ。 「何であんな奴が会長に声をかけられるんだ?」 「くそっ、羨まし過ぎる!!」 「というかあの人の名前誰か知ってる?」 「そもそもうちのクラスにあんな奴居たっけ?」  それにこそこそと喋っている積もりなのだろうが全部聞こえているからな? 「理由なら昼休みにちゃんと言ったではないか。何ならもう一度聞かせようか?」 「すまん、頭痛がしそうだからやめておこう。それよりも、早くそのブレザーの裾を掴む手を離してはくれませんかね?」 「む?何か急ぐ用事でもあるのかい?」 「えぇ、用事が『出来そう』なので早めに終わらせたいので。」 「『出来そう』とは一体……?」 「あ~~~~!会長、こんな所に居たんですか!早く生徒会室に来て下さいよぉ!」  ネイラ会長が言いかけた途端、何者かの甲高い声に遮られた。何事かと声がした方へ視線を向ければ、真っ先に目に飛び込んできたのは茶色い髪を後ろで一つ結び――所謂ポニーテールというやつ――にした頭だった。  視線を下へずらせば、幼顔をした女子生徒が少し息を切らしながら怒っていた。 「私のことはネイラと呼んでくれと毎回言ってるだろう?」 「今はそんなことはどうでも良いです!それよりも会長が来てくれませんと一向に会議が始まらないので早くして下さい!」 「それは申し訳なかったな、ミナ副会長。残念だがここまでのようだ。また会おう、カイト君。」 「もう来なくて結構だ。」  ようやくネイラ会長から開放された。一階にある生徒会室へと向かっていく彼女らの背中を心底疲れきった顔で見届ける。  ……どうでもいいことだが、あのちびっ子って副会長なのか。  クラスメイト全員の視線を一身に受け、あまりの居心地の悪さに身震いしながらその場を立ち去った。  登校してから二日目にして、もう不登校になろうかと考えてしまう。明日からどうなるのだろう、俺?
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