二章

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 校舎を出て、守衛所を通り抜けてからは特に何かに巻き込まれたり邪魔が入ったりなどはせずいつも通り城下町へと足を踏み出す。    王都『イントラ』は石造りの建物がボードゲームのマス目のように規則正しく立ち並ぶ、落ち着いた感じの色調で統一された町並みだ。歴代の王達がこの景観を守り続けてきたため、積み重ねてきた年月を感じさせるような風格のある町となっている。  町の中央には南北の関所を結び付けるかのように大通り『縦大通り』が敷かれ、その道を二分したところに東西に延びる大通り『横大通り』が続いている。  上空からみたら少し形は歪んでいるものの、『田』の字のように建物が立ち並んでいることがよく分るだろう。  東西南北に分かれる大通りから、さらに枝分かれした小さな通りがあちこちに延びている。  そして、東西に延びる大通りと南北に延びる大通りの交わるところには王城がそびえ立つ建つ。昔から変わらぬ姿で王都を見守ってきた、もはや芸術と言っても過言ではないほど立派な姿をしている。  王城を中心に王都『イントラ』はそれぞれ『北西エリア』『北東エリア』『南西エリア』『南東エリア』の四つのエリアに分かれている。    俺の通うヘプタフォース魔導学園は北西エリアの縦大通り寄りにあり、ギルド『暁の戦士』も北西エリアにあるのだが、こちらは一番隅に位置する場所に建っているので学園とギルドは同じエリア内でも結構距離はある。    ヘプタフォース魔導学園から西へ向かって、往来する人々や周りの風景をぼんやりと見ながら歩いていくと開けた道に出る。  その先には木造の建物、ギルド『暁の戦士』が変わらぬ姿で待ち構えていた。    いつもであればここに来る度に心が落ち着くはずなのだが、今日に限っては嫌な予感が心中で渦巻いていた。 (これが虫の知らせって奴か?これほどまでにギルドに行きたくないなんて考えるのは初めてかもしれない……。)  なんてことを考えながらも、踵を返して寮に戻りたいという衝動を押さえつけてギルドへ向かっていく。そして両開きの扉の左側を押して開き、ギルドへ足を踏み入れた。  ギルド内は昨日の災害が会ったのにもかかわらず、一目見ただけならば何事も無かったかのように見える。  受け付け嬢がいつも以上に書類を整理している姿や、清掃員が忙しなく掃除しているところを除けば、だが。
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