二章

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 北の関所を出てほんの数分でミスリード樹林・雑木エリアの入り口前にたどり着いた。  やはり陸路はデリーに限る。歩きなら数十分はかかるであろう道のりでもこうしてすぐに着く。  現在雑木エリアの入り口で立ち止まっているところなのだが、さっきからデリーが一点を見据えたままじっとしている。どうやら気付いているらしい。 「お前も分かるのか?まあ、十中八九その通りだろうな。」  俺はデリーの常に逆立っている後頭部の羽毛を撫でながら、面倒くさそうに呟いた。  そう、雑木エリアのどこかで戦闘が行われている。入り口に居ても感じ取れてしまうのは今ままでの経験則からなのだろうか。 「あれはスルーして俺達は樹海エリアにさっさと行こう……って分かったよ。様子見に行けばいいんだろ?」  俺が最後まで言い終わる前にデリーは否定するかのように嘴を打ち鳴らし、俺の提案に異議を申し立てた。  「やれやれ。」と溜め息を吐きながら、デリーを戦闘が繰り広げられているであろう場所へと向かわせる。 「迅速に事を片付けるぞ、デリー。」  呼応したのかデリーは一声鳴くと、スピードを上げて刻々と薄暗くなっていく雑木エリアの中を疾走して行く。  いつしか先ほどまで戦闘が行われていたと見られる少し開けた場所にたどり着いた。周囲を見渡せば大地が焼けた跡や木々の葉が大量に落ちていたり等していた。  足元に目をやれば複数人の足跡と原生生物の足跡が至る所に残されていた。  これらから推測するに、該当する原生生物は奴しか居ないだろう。 「暴嵐豹……かねぇ。」  一人鬱々としているとすぐ近くで暴風が吹き荒れ、木々の間を通り抜けてこちらまで届いた。  思っていたより近くに居たらしい。 「…………面倒臭いなぁ。仕方ない、デリーは向こうの茂みで待機しててくれ。」  ぼやきつつも最悪の事態に陥ると後味が悪いので、デリーから降りて指示を出しながら現地へと赴く。  デリーが茂みに身を潜めたことを確認してから戦闘の様子を観察した。
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