二章

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「俺も購買でパンを買うつもりだが?」 「それなら、こんなところで悠長に話している場合じゃなくて?」 「相変わらず凄い人ごみだねぇ~……。」  話し合っているうちにどうやら食堂に着いていたらしい。アイが示す方には購買に群がる沢山の生徒達がひしめき合って居た。  我先にとパンの争奪戦を繰り広げているその様は、まさに戦争と呼んでも過言ではない。 「今日こそはここのパンを買ってみせるんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「どけぇ!!このガキ共がぁ!!」 「イテッ!!誰だ、オレの邪魔する奴はぁ!!」 「バカに取られて堪るか!」  ヴァンがどこかのクラスの担任と争っているように見えたけど気のせいだと思いたい。  だって……ねぇ。教師が生徒に混じって購買で争っているなんて信じたくないだろ? 「で、レムス。あなたはこんな状況の中どうやってパンを買いますの?」 「マリアさんよ、購入ルートはあそこだけとは限らないんだぜ?」 「それってどういう……?」 「まあ見てろって。」  レムスは僕達にそう言い残すとパンに群がる生徒達に近づいていく。  そういえばレムスはいつも購買のパンを食べていた。ふらふらと購買に行ったかと思うと、いつの間にかその手には購買のパンがあった。  どうするのか見守っていると、レムスは急に向きを変えて群集を避けて右に逸れていく。  彼が向かった先にあるのは食堂業務員専用の扉の前。  レムスが数回その扉をノックすると、中から一人の筋肉質なおじさんが出てきた。多分、あの人が購買のパンを作っているのだろう。腕や顔にパン粉がくっついている。  レムスと一言二言話すとそのおじさんは陽気に笑い、レムスにパンを渡すと奥に引っ込んでいった。  そして何食わぬ顔で僕達のところに戻ってきた。 「ち、ちょっとレムス!?何であんたそんなにあっさり……。」 「かくかくしかじか、色々あってこうなっている訳だ。」 「説明になってないわよ!」 「そ、それよりもエリス。早く食券を交換しに行かないと人が増えちゃうよ?」  カウンターへと目を向ければ、そこには既に何人かの生徒が並び始めていた。 「あ、やばっ!教えてくれてありがと、スオウ……。」 「席とっておくから行ってきなよ。」 「うん!」  エリスは僕に向けて笑うとカウンターに向かって走っていった。  
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