一章

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 けたたましいアラームと共に、俺の1日が始まった。手探りで目覚まし時計を止める。 「もう、朝か……。」  そう呟やくなり寝ぼけ眼のまま朝食にトーストを焼き、バターを塗る。 「いただきます。」  1人手を合わせ、小声で言う。勿論ルームメイトなど居ない。 食べ終わると早速身支度を始めた。洗面所で顔を洗い、歯を磨き、寝癖を直す。  鏡に映る自分の顔はいたって普通だ。やや伸びた黒髪、黒い瞳、どちらかと言うと整った顔立ち。しかし、これと言った特徴が無い。  その後制服に着替え、鞄を持つ。制服は紺色の下地に襟のところに白いラインが入っているブレザー。裏には小さく『カイト』と刺繍が施されている。ズボンは濃いグレーに赤のチェック。  そしてブレザーの左胸には、盾の上に交差された剣と杖が描かれた校章が付いている。 着る度に思う。これはダサい……。  何故襟に白いラインを入れた、何故ズボンに赤のチェックを入れたんだ。  まあ、愚痴をこぼしても仕方がないので玄関に向かいローファーを履く。 「行ってきます。」  誰も居ない静まり返った部屋に向かってボソッと呟き、学校へ行く。 この世界には魔法 が存在する。  『魔法』それは日常で使われとても便利な物だ。人によってその性質は違い、火を灯す者、水を出す者、風を起こす者、中には大地を操る者もいる。  この『ベルタ』の世界で魔法は基本的に、火水風地光闇無の7つの属性に分かれる。無属性は誰にでも使え、大体の人は2つの属性を操ることが出来る。  魔法はその便利さ故、これまで様々な魔法を使った戦争が繰り広げられていたらしい。  らしい、というのは今の世の中は平和そのもので、最後の戦争が起きてから数十年経つ。  そのため、昔戦争があったと言われても、いまいち実感が湧かないのが事実。 そして、もう二度と戦争が起きないように魔法について学ぶ『魔導学園』が国中に設立された。  魔導学園には小学校から始まり、中等部、高等部、魔法院まである。基本、小学校から高等部までが義務教育となっていて、魔法院は行きたい人が行くような体制を採っている。  魔法にはランクがあって、初級、中級、上級、最上級、神級の五段階に分かれている。  小学校では初級魔法を学び、中等部では中級を、高等部は上級魔法を学ぶ。最上級は魔法院で学べる。神級ともなれば最早、神話レベルの話しになる。
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