一章

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 勿論、学年が上のランクの魔法を学んでも構わない。例えば高等部の生徒でも最上級魔法を体得出来る。  かなり難しいものの、それでも毎年何人かは高等部で最上級魔法を体得する生徒はいるらしい。  それはさておき俺が通う『ヘプタフォース魔導学園』、通称『7魔導学園』について話そう。  7魔導学園は全寮制で、広大な敷地面積を誇る高等部だけの学校だ。学力はどうしようもないアホから超エリートまで幅広く、上を見ても下を見てもきりがない。  つまりそれだけ沢山の生徒がこの学園に通っている。にもかかわらず、全寮制のくせに寮と校舎は離れて建設されている。寮から校舎まで歩いて十分位掛かる。  因みに今の季節は春。入学シーズン真っ盛りで、ちらほら新入生の姿が見え始めてきた。新しい学園生活に期待を膨らませ、やや緊張している姿はとても初々しい。 そして、俺は今日から新二年生となる。    そうこうしている内に校門までたどり着いた。無駄にでかく、やたらと豪華な校門をくぐって直ぐの両端と中央に、守衛所がある。ここの管理人に学生証を提示すれば校内に入れるのだが……  早速、学生証を忘れたバカがいるらしい。管理人に止められている、赤髪でがっちりした体型の生徒がいる。  チラリとそちらを見て一瞬だけ目が合い、そいつはハっとして…… 俺は無視して管理人に学生証を提示して校舎に向かった。  無視をしたけど何か?去年同じクラスのバカキャラだったような気がするけど、流石に登校初日で学生証を忘れる訳が無いと思っただけだけど?  さっさと守衛所を抜けると、そこには手入れの行き届いた広場が視界に広がる。中央に噴水があり、その周りは花壇が植えられている。いつ見ても壮大かつ綺麗な広場だ。    その奥には、ほとんど城と言っても過言では無い校舎が見える。元は白かっただろう壁は今やくすんでしまっている。 だが、そこにまた趣がある。  ……本当にここは学校なのだろうか?校門といい、広場といい、校舎といい。全てに於いて豪華な気がする。    少なくとも高等部の学生が通うような学校ではないと、俺は思っている。  だがここは学費が安く、しかも全寮制。その為か、かなりの人気があり、他校に比べて学生の数が多い。  食事に関しても寮で自炊が出来、校舎には食堂までも完備されている。まさに学生に対して至れり尽くせりな学校だ。
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