21人が本棚に入れています
本棚に追加
「おーい!史郎ー!」
視線を下げると、小柄な少年がさっきまで自分が立っていた場所で手をメガホンの様に作り、こちらに何か叫んでいる。
「史郎ー!どおー?僕の新作、腕時計型手榴弾!名付けて、『できることなら、あの頃に帰りたい爆弾』!
あの頃に帰りたくなったー?あれ、あの頃っていつの頃だっけ? ねぇ、いつだっけタケル~?」
そう言って、後ろにいるもう一人の少年に声をかける。
「さあ・・・。ああ、確かあの頃じゃないか?仲の良い男2人組を見つけて、『ホモォ、ホモォ!』とか言いながら、
地面を這いずり回って追いかけ回してた時だっけ、あの時は輝いてたよな。」
「あの時かー、史郎の奴、腐男子疑惑があるからなー。」
そんな怪しいことをした覚えはない、というかそんな性癖を持ったこともない。と、考えていたところで、地面が見えてきた。
そのことにやっと気づいた小柄な少年こと、桜田春樹はまた自分に呼びかける。
「そうそう!こんなこともあろうかと、さっき史郎の背中にパラシュート付けといたからー!」
という言葉と同時にいつの間にか背中につけられていたパラシュートが開いた。
そこで急速に動いていた世界がゆっくりになる。
最初のコメントを投稿しよう!