第一話 (これでも)ヒーロー達の日常

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みなさん、始めまして。只今ゆっくりと上空を落下している自分こと、藤崎史郎です。 そして、下で色々とやらかしている2人を含め、私達はとある養成学校で一日も早く正義の味方、 すなわち“英雄”になるために日々精進しています。表向きは普通の学校ですが、 現在の様に実際に事件の依頼を受け、実戦を積んでいます。 原則として、迅速に、穏便に事を済ませることがこの学校の規則なのですが・・・。 改めて下をよく見てみると、さっきの爆発でビルの窓ガラスが粉々になっているのが見えた。 更に、未だに敵を蹴りつけていた少年、霧島武の足元には明らかにライフ0になっている敵が4、5人倒れていた。 顔ではなく、服の上から攻撃している所を見ると性格の悪さが垣間見える。 そんな好き勝手にやっているあいつらを見て、もう何も言う気力も無くなっていた。 気が付くと、自分は風にあおられて人通りの多い市街地に落下していく。 通行人の視線を集めながらの着地はかなり痛々しいものだ。 しかし、足が地面に付くことはなく、宙吊りになっていた。 上を見上げると、パラシュートが店の看板に引っかかっているのが見える。 そんな自分を見て見ぬふりをして、前を通り過ぎていく通行人の視線を感じながら、青い空を見上げ、 あの二人をどうしてやろうかとか、始末書に何と書こうかとか考えていたが、とりあえず。 「ママー、変なお兄ちゃんがぶら下がってるよー?」 「しっ!見るんじゃありません!」 とりあえず、今すぐ帰りたい。
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