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「…………もう、戻る事は、出来ないよ」
「いいですよ。これからは貴方の為に、相務めさせて頂きます。」
「………契りはしなくて、いいよね?」
「え?でも…」
一度、マフィアを離れ、戻るとしたら、再度血の掟を交わすべきじゃ……
「いいじゃん、前にエインとやっただろ? だから━━━━」
いきなり、口調に怒気が混じった声が途切れる。
「………まったく、困った子ですねぇ」
「………エイン、さん」
━━━入替ったのか………
「あの子はホント困ったものです。親指を少し切るだけで大袈裟な。
さて、クロ。………やりましょうか」
そう言い、部屋の奥にある机からカッターを取り出し、そのまま刃を出し、親指を、切った。
エインは指から滴れる血を気にも止めず、カッターを投げて寄越す。
俺はそれを受け取り、血のついた刃で自らの親指を切る。
「二度目だし、硬っ苦しいのは無しね」
差し出してた親指に、エインも親指の腹をそっと、合わせる
お互いに流れ出した血が混ざり、お互いの手を汚す。
「おかえり、クロ」
「………ただいま、エインさん」
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