無駄に永く

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古びたアパートの一室…… 一人、布団に横たわる老人…… (ワシはもうすぐ死ぬ……) 苦しそうに咳をする老人。 (天涯孤独……想えば人生、楽しいことなど一つも無かった) スッと目を閉じ、顔を震わせ……泣いている……? 「フ……フフフ……ゴホッゴホッ……フハハハ」 否、老人は何故か急に笑い始めた。 「この時を……ワシは待ち焦がれた」 老人は、手をタンスに伸ばすと、中から小さなビンを取り出した。 「人生の終わる、まさにこの瞬間に呑むと決めていた……この……」 ビンの中の丸まった紙を震える手で広げてゆく…… 紙の中には妖しげな白い粉が……。 「……若返りの薬を!」
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